
長女と孫の関係は、冷えたまま5日目を迎えようとしていた。
同じ家に住んでいながら、こういう状態が続くと正直しんどい。
でも、真剣に考えてほしかった。
長女も昨年末から就職し、生計を立て直そうという姿勢は見られるが、家事にまで意識が回る余裕はまだないようで、一緒に暮らし始めて3年、部屋を掃除している姿を私は一度も見たことがない。
それでも、3人で家族会議を開いて決めた。
「トイレとリビングの掃除は当番制」「やらなかったら、罰金:大人500円、子ども100円」
最初こそ守っていたが、いつの間にか“3日延長ルール”なるものができて、最近では罰金を払えば免除されるような空気になっていた。
我慢していたのは、それだけじゃない。
洗濯物がリビングに溢れても平気で“またぐ”孫。
使い終えた食器は放置。結局、我慢しきれず私が洗う。
「ねえ、シェアハウスに住んでると思って暮らして」と長女に言ったのは、数ヶ月前だった。
何度も、何度も、伝えてきた。「リビングに私物を置かないで」「食器は早めに洗って」
——我慢の限界を超えたのは、きっと、孫の塾の話が引き金だった。
私はずっと、長男や長女には負い目があった。
ステップファミリーにしてしまったという罪悪感が先に立って、きっと、甘やかしてきた。
でも、長女はもう“母親”だ。
もっと現実を生きてほしい。私は一生、長女の人生を背負うつもりはない。
——自分で成長できない人は、誰にも迷惑をかけずに、のたれ死ねばいい。
この感情は、実家の父に対しても強く思っていることだ。
弟が苦労している姿は気の毒だが、それは弟の課題。
そう割り切る冷たさが、私の根底には確かにある。
だからこそ、長女には変わるきっかけを投げた。
どう受け止めるかは、本人次第。
私には、孫が義務教育の間だけはキャパがある。
それ以上は背負えない。
——そんなこの日。
長女は休みだったようで、朝から部屋で何やら動いていた。
昼頃、ノックの音とともに「お母さん、これ書いた」と手渡されたのは、チラシの裏に走り書きされたメモだった。
そこに書かれていたのは、長女と孫の「これから」の約束。
・塾は今月いっぱいで辞める。
(今後の方針は、2年に上がってから親子で相談)・自宅学習に切り替える(週6日、1日1時間)
・必要があれば学習支援の場へ相談。無理そうなら塾再開を検討(再度相談)
・テスト期間中、ゲーム・スマホは2時間まで
・ゲーム・スマホの管理は長女
・週1回、30分の片付けタイムを設ける
・掃除当番のチェック表は自分で○×をつける
・役所の手続きは早めに動く
甘いな……とは思ったけれど、2人が話し合って決めたなら、それを尊重しよう。
塾についても、「不登校だった時に学力が心配で通わせただけだから、今は普通に追いついている。2人が納得しているなら、それでいい」と伝えた。
ようやく、冷戦状態から抜け出せた。
——そして、いつもの“甘々BABA”に戻れる。
私は、ホッと胸を撫で下ろした。

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