1000日の心のつぶやき

【1000分の69日目】別れの準備と、子どもたちの優しさ

遊民
遊民
離婚を決意した母の告白に、静かに耳を傾けてくれた息子。
子育ての答えが、ふと心に灯る——そんな一日。

ガーベラライン

今日は、次男がふらりと家にやって来た。

仕事が忙しいはずなのに、珍しいなと思っていたら——

「最近、お母さんの様子が変だから、気になって来た」と言う。

心配かけないように、「なんでもないよ」と笑って返そうとしたけれど

私が黙っていることで、余計に重くなってしまう気がして——

思わず、口を開いた。

「……お父さんと、別れようと思ってる」

しばらくの沈黙のあと、息子が聞き返す。

「え? なんで?」

私は少し迷ってから、あの話を切り出した。

遊民
遊民
……旧車の売却益の件、聞いてる?

孫にお金をあげたいって話

次男
次男
うん。聞いてる。

でも俺は、そんなに気にならなかったけどな。

その言葉に、ああ、男と女ってやっぱり違うんだな、と思った。

息子にとっては何でもないことでも、私には、とても重たいことだった。

「お母さんには、無理だった。

……“孫の家”って、元嫁の家でもあるでしょ。

どうしても割り切れなかった。

それなら、離婚してからやってほしいと思ってしまうの。

“今の家庭が一番”って言われたけど、
順番をつける考え自体がもう、無理なの。

二番目があるってことじゃない。

相続なら、まだ理解できるの。将来のことだから。

でも、生きてる間に、わざわざそうするのは……

今回、私がこれを許してしまったら、笑えない人生になる気がして、だから、無理」

——私の言葉に、息子は最後まで口を挟まず、黙って聞いてくれた。

そして、少し考えるようにして言った。

「男ってさ、“貴方が一番”って言われると嬉しい生き物なんだって。

だから、無意識にそう言う言い方になるって、恋愛本に書いてあった。

逆に、俺は相続案には反対。

過去の家族が関与してくるのは嫌だし、今、渡してスパッと終わる方が、気持ちが楽。

でも、それはお母さんとお父さんの問題だから、俺が決めることじゃない。

ちゃんと話した方がいいと思う。

たぶん、お母さんがそんなに思い詰めてるなんて、お父さんは気づいてないよ。

……前に、お母さんが更年期で辛かった時、俺と次女とお父さんで家族会議したんだけど

あの時も、お父さん、“別れたくない”って言ってたよ」

——それは夫の気持ちであって、私の気持ちではない。

でも、私はもう、自分なりに準備を進めている。

会社のこと、家族への影響、ひとつずつ整えているから、そんなに迷惑はかけないつもり。

「今すぐどうこうじゃないけど、
私がこういう気持ちでいるってこと、知っておいてほしかっただけ。

だから、いろんなこと、少しずつ自分でできるようになってほしいの。

次女には確定申告のやり方を教えたし、
あなたのも複雑な仕訳はないから、きっと自分でできるよ。

もう、みんな大人だし、大丈夫よね」

そして、静かに伝えた。

「お父さんの考えが“悪い”とは思っていない。
ただ、私は今、とてもしんどいの。
だから、そっとしておいてほしい」

息子は、それ以上多くは語らず、ただ一言。

「……お母さんと俺、似てるよね。
人に頼るのが苦手なところ。
でも、話くらいなら、いつでも聞くから。
言いたいことがあったら、遠慮せずに言ってね」

そう言って、帰って行った。

——うちの子たちは、みんな優しい。
本当に、いい子たちだ。

きっと私は、子育てという長い旅を、
それなりに正しく歩いてこられたのかもしれない。

そう思えただけで、少し、救われた。

ガーベラライン

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ABOUT ME
遊民
はじめまして、遊民です。 「死ぬまでにゆる~くやりたい100リスト」からスタートしたこのブログは、ある日夫が発した何気ない言葉をきっかけに、「1000日後に離婚する2人」へと進化しました。 夫婦関係を見つめ直しながら、自分自身を取り戻す過程を綴っています。 離婚も視野に入れつつ、できれば理解し合い、笑って人生を締めくくりたい――そんな想いで、日々の気づきや挑戦を記録中。 同じように悩む誰かのヒントや希望になれたら嬉しいです。