
昨夜、夫に電話をした。
副業のことは、まだ話していない。
けれど、会社の移転前に——
以前から話していた、事務所の改装と見積もりについて、改めて意思確認をした。
「上下水道を含む工事になるから、家計から費用が出るかもしれない」と伝えると、
「見積もり次第で考える」と、了承してくれた。
一応、反対されても見積もりだけは取るつもりでいたので、
嘘をつかずに済んだことに、少しだけ心が軽くなった。
それから話題は、今日行った健康診断の話へ。
先月かかった風邪のおかげで体重が減っていたことを、彼は嬉しそうに話していた。
そして、あのLINEの件について。
義弟と元嫁が離婚した理由は義弟側にあって、
子どもを置いて出ていった元嫁の事情も知っているから、突き放すことはできない——
そう説明してくれた。
私は、それを否定しなかった。
でも、私にはどうしても理解できないことがある。
だから伝えた。
「私の元夫の義兄は、離婚から数ヶ月後にアパートを訪ねてきて、
玄関で私にキスをしようとしたことがある。」
「——あのとき、私は思った。
“離婚って、もう他人になることなんだ”って。」
そんなことがあったから
たとえ子どもの親同士でも、あえて連絡を取り続けるような関係には、どうしても違和感がある。
それって、もう“境界がない”ってことじゃない?
2人でいるところを誰かが見たら、ああ兄妹なんだなって思う?
「そもそも、子どもを置いていける人の気持ちが分からない。
……きっと、私とは違う人種なんだと思う。」
私は真剣に話したつもりだった。
境界を越えることの気持ち悪さと、その後に残る距離感の歪み。
私はそれを、過去の経験として知っている。
だけど、夫は言った。
2人で会おうとも思っていないし、考えすぎだろ?
——ああ、またか、と思った。
私の「気持ち悪さ」や「怖さ」は、たいていこうして“なかったこと”にされる。
「そんなつもりない」と言われれば、それ以上、掘り下げられない。
その場で怒るほどのことでもないし、かといって、なかったことにできるほど軽くもない。
私は、ただ、自分の感じたことを伝えたかっただけなのに。
「私はあなたとは違う。だからこそ、知ってほしかった」とは言えなかった。
その代わりに、黙ってうなずいて、その話題を終わらせた。
また一つ、伝わらないまま終わる会話が増えた。
私が過去に線を引いた理由。
今も、自分を守るために、その境界線を守って生きていること。
ただ、それを知ってほしかっただけだった。

いつも応援ありがとうございます。
▶ 心のつぶやき カテゴリーの記事一覧は こちら
▶ 心のつぶやき 【1000分の72日目】はこちら