1000日後に離婚する2人

【1000分の50日目】それはまるで、あの夜と同じ痛みだった。

【1000分の50日目】それはまるで、あの夜と同じ痛みだった。


先週、夫がよく使っている修理工場から、会社宛に一通の請求書が届いた。

──東京から赴任先までの旧車の輸送費。

しかも、会社の車の修理費に、しれっと紛れている。

「はあ……何これ」
呆れて写真を撮り、「これは経費で落ちません」と、ドラマのタイトルさながらに夫へ送った。

すぐに既読がついた。
でも、既読スルーのまま、今日に至っている。

私にそう言われたくなかったのなら、修理工場に「車名は載せないで」と一言、伝えておけばよかったのに。
そうしてくれていたら、私は気づかないまま処理していたかもしれない。

こういう“詰めの甘さ”──
浮気でもしたら、きっとすぐにバレる。

AIに命式ベースで見てもらったら、
夫は「確実にバレる。墓穴を掘る」タイプ。
私は「ノーヒントで墓場まで持っていける。でも、やらないあなた」だそう。

──うん、私もそう思う。

浮気をする自分を、自分で許せない。
結局、命式通りに生きてる自分が、笑える。


そういえば、夫とは3年の交際期間があったけれど、過去に一度だけ浮気をされたことがある。

「交際期間中」だったから、私はそれを浮気のカウントには入れていないけれど──
当時の私は、身を切られるような思いで、毎日がとても苦しかった。

夢中で、恋をしていた頃。

ある時、夫が突然、夜のバイトを始めた。理由は言わなかった。

私も昔、車の免許を取るために夜のバイトをしていたことがあるし、
まだ結婚していなかったから、口を出す権利もない私は、
「きっと事情があるんだろう」と自分に言い聞かせて、黙っていた。

でも、会えない日が続き、彼の様子は少しずつ変わっていった。

そしてある夜──
階下で、深夜になっても帰らない彼を待っていた私の耳に、コツコツとヒールの音が響いた。

見上げると、部屋の灯りがつく。
そこにいたのは、彼と、見知らぬ女性だった。

「なぜ、そんなにすぐ私にわかるようなことを……」

きっと彼は、私との関係を終わらせることを口にするのが億劫だったのだろう。

でも私は、どんな理由があっても、子どもたちを捨てて、夫を選ぶことはない。

夫が他の道を選ぶのなら、それはそれでしかたない。

私は、心を許せた相手だったからこそ、悲しかった。
けれどその痛みは、私のもの。夫には関係ない。

「寂しくなるから」という理由で裏切りを許せるほど、私は寛大じゃない。

「うん、終わらせよう」

そう決意した翌日、私は静かに別れを告げた。

夫はうなだれ、「二度としない」と謝ってきた。
でも私は、こう言った。

「私たちの関係で、“二度目”はない。」

そうして、私たちは一度、終わった。


──その後。

私には人生最大のモテ期が訪れ、数人に告白された。

何度か遊びに行く人もいたけれど、どこかで子どもたちを蔑ろにされているような空気にシラけてしまい、
夫と付き合っていたときのような安心感は感じられなかった。

それでも戻ると決めたのは、
「どうせ結婚しないし、楽な相手でいい」と自分で決めたから。

期待はしていなかった。
ただ、他よりマシだった。それだけの話。

それでも、あの時に熱心に謝った夫を前に、私は「もういい」と口にしてしまった。
……そういうところ、ズルいんだよなぁ。私の“ツボ”にハマるやり方。

今回の件は、浮気ではない。
でも、あの時に感じた思いと、どこか似ているものがある。
私はまた、自分の境界線を確認しただけだ。


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遊民
はじめまして、遊民です。 「死ぬまでにゆる~くやりたい100リスト」からスタートしたこのブログは、ある日夫が発した何気ない言葉をきっかけに、「1000日後に離婚する2人」へと進化しました。 夫婦関係を見つめ直しながら、自分自身を取り戻す過程を綴っています。 離婚も視野に入れつつ、できれば理解し合い、笑って人生を締めくくりたい――そんな想いで、日々の気づきや挑戦を記録中。 同じように悩む誰かのヒントや希望になれたら嬉しいです。