1000日の心のつぶやき

【1000分の53日目】免罪符が効かなくなる日

遊民
遊民
30年分の「当たり前」に終止符を打つ日。
“仕事しかできない”という免罪符は、もう効かない。
ガーベラライン

「○○家」の家族LINEに、次男の動画がアップされた。

――けれどそのグループには、長男も長女もいない。
そこにいるのは、夫が“家族”と認めた人たちだけだ。

私はその動画に、スタンプをひとつだけ返した。
個別に次男へ短いメッセージを送る。

地域のために頑張っている姿を、誇らしく思うよ。

夫はよく言う。
「お前と次男は、似てるんだよな」と。

その言葉の裏に、どんな意味が込められているのか。
目立ちたがりだとでも、言いたいのだろうか。

たしかに私は、地域の活動によく関わっていた。
PTA、子ども会、サークルの主宰。
家のこと、育児、自営業の経理も含めて、
できるかぎりのことを、黙々とやってきた。

SNSも、よく使っていた。
けれどそれは、誰かに褒めてほしかったからではない。
ただ、自分が楽しかったのだ。
無理をしてでも、やりたかったことだった。

「楽しそうにやっている」――
その部分だけを、都合よく切り取って、似ていると言うのなら、まあ、そうかもしれない。

けれど、次男のSNSに、私の姿は一度も出てこない。
そこにあるのは、父親とのエピソードばかりだ。

……私は、いつもそばにいたはずなのに。

そのことに胸がふっと痛むことがある。
でも、いい。
彼が無理なく、苦労さえも楽しみながら進んでいってくれたら――
それだけで、私はいい。

ふと、過去の光景がよみがえる。

夫はこれまで、地区の班長や少年野球の保護者会長など、肩書きのつく役回りをよく引き受けてきた。
引き受けるだけ引き受けて、実務のほとんどは私に任せきりだった。

私はというと、サークル活動に、PTA、子ども会、家事、育児。
さらには自営業の事務・経理も――
士業に頼らず利益を出すために、どれほど頭を絞ったか分からない。

正直、自分のことで精一杯だった。

あの頃、私はよく怒っていた。
「自分でできないなら、安請け合いしないで」と、何度も何度も言った。

それでも夫は、決まってこう返してくる。

「俺は、仕事しかできないからさ」

それを言えば、すべてが許されると思っているのだろうか。
こちらが背負ってきたものに、気づいていないのか。
それとも、気づかないふりをしているだけなのか。

責任を振られても、どこか他人事のように、軽やかにかわしていく。
気がつけば、怒る気力すらもう、残っていなかった。

そして、30年。

夫はいまだに、何のてらいもなく、口にする。

「俺は仕事しかできない男だって、言ったさ〜」

……はあ。お手上げである。

そんな調子で、

「孫にお金あげるって、言ったさ〜」

などと、平然と言いかねない。

タヒね――
……とまでは言わないけれど。

私が本当に離れるとき、

その“免罪符”は、まだ効力を持つのだろうか。

我ながら、よくここまで我慢してきたと思う。

話し合いの場にすら上がろうとしない人。
せめてこれからは、自分の足で立っていてほしい。

お疲れ様、私。
次は、誰かの“代役”じゃない人生を。

ガーベラライン

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ABOUT ME
遊民
はじめまして、遊民です。 「死ぬまでにゆる~くやりたい100リスト」からスタートしたこのブログは、ある日夫が発した何気ない言葉をきっかけに、「1000日後に離婚する2人」へと進化しました。 夫婦関係を見つめ直しながら、自分自身を取り戻す過程を綴っています。 離婚も視野に入れつつ、できれば理解し合い、笑って人生を締めくくりたい――そんな想いで、日々の気づきや挑戦を記録中。 同じように悩む誰かのヒントや希望になれたら嬉しいです。