【TNR活動】「Ni-」との出会い。命と向き合った、ある春の日。
こんにちは、遊民です。
自治体の広報誌に、ふと挟まれていた一枚のチラシ。
それが、近所にいたノラ猫ちゃんの去勢手術につながるとは、思いもしませんでした。
TNR活動って、なに?
TNRとは、**Trap(捕獲)・Neuter(不妊去勢)・Return(元の場所に戻す)**の略。
公益財団法人どうぶつ基金が行っている「さくらねこ無料不妊手術事業」によって、手術費・ワクチン・ノミ駆除まですべて無料でサポートされます。
手術を終えた猫は、片耳が桜の花びらのようにV字カットされ、「さくらねこ」として地域に帰っていきます。
これは「一代限りの命を全うさせる存在」であることのしるし。
殺処分や近隣トラブルの軽減にもつながる、大切な活動です。(うちの市のHPより)
はじまりは、軽い気持ちから
耳がカットされた猫を見かけるたび、
「ボランティアの人が餌をあげてるんだな〜」と思っていた程度の私。
でも、ある日ふと、
「このノラちゃん、増えたら困るかも…」という軽い気持ちで、チラシに書かれた連絡先に電話してみました。
無料なら、やってみようかな?
特に思い入れのある猫ではなく、
「無料で手術できるならラッキー」くらいの感覚でした。
でも、詳しく聞いてみると…
申し込みから手術までは約2か月
捕獲機の貸し出しあり
捕獲・搬送・報告は自分でやる必要あり
……うん、思ったより大変そう(笑)
でも、「繁殖してからでは遅い」と思い、覚悟を決めてチャレンジ開始。
捕獲への道は、餌付けから
いちばんの難関と思われた「捕獲」。
まずは倉庫付近に餌を置き、少しずつ自宅近くへ。
朝と夕方、決まった時間にエサを出すうちに、猫も“定時出勤”するようになってきました。
そして気づけば、ナデナデ・スリスリまでしてくれる仲に。
名前をつけたら、心が動いた
姿が見えないと、「Ni-、ごはんだよ〜」と呼ぶようになり…
名前が欲しくなって、ついに命名。
「Mi-」はよくあるから、「Ni-」にしよう。
(“口を一回閉じるのが面倒”という意味不明な理由ですが(笑))
でも、不思議なもので名前をつけると感情が湧いてくる。
ただの“作業”だったエサやりが、“関係”に変わった瞬間でした。
手術当日、そしてその後
飼い猫とは違い、事前検査なしで即日手術。
「体調によってはリスクもある」と聞き、正直、不安もありました。
でも、「さくらねことして生きられる方がいい」と、自分に言い聞かせて病院へ。
術後は一晩ゲージで休ませてから、元の場所へリリース。
エリザベスカラーもなくて心配しましたが…
実はNi-はすでに手術済みの猫でした。
傷口も小さく、翌日からまた元気にごはんを食べにきてくれました。
心が痛んだ、けれど…
報告書と写真を提出し、捕獲ゲージを返却して活動は終了。
でも――
捕獲された一晩、ずっと鳴き続けていたNi-の声。
術後、しょんぼりした姿。
心が苦しくて、正直なところ…
私は、もう自分からこの活動はしないと思います。
TNRチケットには限りがあります
ちなみに、TNRチケットは希望すれば誰でももらえるわけではありません。
私の市では、応募77件に対し、配布は44枚/月とのこと。
自治体によっても違いがあるはずなので、興味のある方は事前に確認してみてください。
おそらく、個人よりもボランティア団体が優先される可能性が高そうです。
「Ni-」と私の、ささやかなつながり
名前をつけたことで、心に住みついた「Ni-」。
短い間だったけれど、たしかにそこには命と向き合う時間がありました。
もう、終わりかと思われた「Ni-」と私の関係ですが
なんと、「Ni-」はうちの通い猫ちゃんになりました。
本格的に飼うの無理だけど、見守っていこうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。