【1000分の5日目】“普通”という仮面の下で揺れていた日
昨日の夜、AIに気持ちを吐き出したことで、少しだけ呼吸が戻った気がした。
だけど、感情の澱はまだ底に残っていた。
そんな朝に、いつもの日常がやってきた。
先週、申請を出していた旧車の車庫証明が取れる日だった。
私は午前中に警察署へ出向き、その書類を受け取って、
修理をお願いしている業者に郵送した。
「車庫証明、送りました」
「ありがとう」
それだけのLINEのやりとり。
まるで何事もなかったかのような、穏やかな“日常”。
でも私の心は、まだ昨日の続きを抱えたままだった。
ふと、昔読んだ本の一節を思い出す。
「最大のイジメ(仕返し)は、無視すること」
その言葉が、今の状況に妙にフィットしてしまって、
「確かに、その通りかも」と独りごちた。
私の中で宙ぶらりんになったままの思い。
報われることも、ぶつけることもできない。
今日、私にできることはもうない。
空は皮肉なほど快晴だった。
私はスーパーでお弁当を買い、海辺の東屋に向かった。
潮風が、肌に気持ちよかった。
打ち寄せる波の音に心が少しずつほどけていく。
ひととき、私は静かに呼吸を取り戻していた。
夜、次女からLINEが届いた。
「〇日に入籍するから、保証人の欄に名前書いてね~」
前から聞いていたけれど、本当にその日が来たんだと思うと、
胸がきゅっとなった。
「いいよ~」
と軽く返したけど、その裏では
「私でいいのかな」という不安もあった。
相手のお父さんも単身赴任中とのことで、
先に入籍を済ませて、夏には家族だけのミニ結婚式をするらしい。
その報告を夫にも伝えようかと思ったけれど、
今日はもう、傷つきたくなかった。
「また明日でいいや」
そう思えたことが、少しの前進だったのかもしれない。
海と、娘の笑顔のおかげで、
私はその夜、久しぶりに深く眠ることができた。