【1000分の30日目】4つ穴リングファイルに、人生を綴じ直した日
〇月までに終わらせる予定だった「建設業許可の年度報告」。
ずっと頭の片隅にあったのに、気づけば、もう□月も終わろうとしている。
「通常業務」と言い聞かせて机に向かう。
だけどこれは、ただのルーティンじゃない。
法人としての信頼を守るための、大事な手続きだ。
財務諸表はもう終わっている。
確定申告の数値をそのまま書き写せばいいだけの話。
むしろ問題は、工事経歴書。
これが曲者だ。
契約書を一部ずつ確認しながら、その年に売上が発生した分を記入する。
公共工事は年度をまたぐことが多くて、売上の数字と契約金額がきっちり一致するなんてことは、まずない。
「発生主義」で処理しているから──
それでいいってわかってる。官公庁も慣れている。
大事なのは、ちゃんと契約書があること。信頼の証だ。
──そう。
わかってはいるけれど、ファイルの中はぐちゃぐちゃだった。
同じ現場で工期が延びたり、金額が変わったり、追加工事が入ったり。
ひとつの契約が一部で終わるはずもなく、
追加の契約書が来るたびに、固定式のファイルに入れた書類を何度も入れ替えて…
作業効率は最悪だった。
これは、可動式のリングファイルにして、現場ごとに整理すべきだ。
まず、イメージする。
2穴のファイルは、重みに耐えきれず、書類がゆがんでしまいそう。
30穴は、柔らかいリフィールポケットを30か所も通すなんて現実的じゃない。
そんなときに見つけた、「4つ穴のリングファイル」。
これなら安定感があり、契約書も歪まず、入れ替え作業もストレスがない。
なんてことのない文具に、心が動いた。
“これだ……”と、声に出してしまいそうだった。
大袈裟だけど、今の自分にぴったりだと思った。
強くて、融通が利いて、きちんと立っている。
リフィールポケットは30穴用だったけれど、
4つ穴の部分が少し大きめに開いていて、問題なくハマった。
仕切りカードはサイズが合わず、要検討──。
ビタミンカラーでそろえた他の書類入れと並べると、違和感しかない「事務色」。
少しだけ寂しくなったけど、作業効率は段違いに上がった。
「ちゃんと、やれてる」
そんな実感が、少しだけ、自分の背中を押してくれる。
まだまだ私は、自分の力で立て直せる。
紙の向こうにある契約の数だけ、
私たち夫婦が一緒に戦ってきた証が、確かに残っている。
私の努力なんて、夫の苦労に比べたらちっぽけかもしれない。
でも、現場だけじゃまわらないのも、また事実。
これは、専門家にだってできる仕事。
だけど、私はずっと、当たり前のようにやってきた。
自営業の頃から、ずっと。
……そろそろ、肩の荷を下ろしてもいいのかもしれない。
そんな気が、ふとした瞬間に、よぎるようになってきた。
いつも応援ありがとうございます。
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