【1000分の44日目】安心するって、こういうことなんだと思えた日
昨日、無事にチョコザップデビューを果たした私の体は、朝から鈍い痛みに包まれていた。
「ああ……ちゃんと効いてるのかな。」
痛みを感じるたび、少しだけ自分を褒めたくなる。
朝のルーティーンを終え、メールを開く。
月初だというのに、何も届いていない。LINEも静まり返っていた。
──これは、OFFの日……決定だろうか。
特に急ぎの仕事もない。もう、今日は休んでしまおうか。
そんな甘い考えがよぎるけれど、会社を開けないわけにはいかず、私は静かにデスクに座った。
「せっかくだから、ブログでも書いておくか。」
最近、過去のことを文章にする時間が増えた。
あれほど渦巻いていた夫への不信感が、不思議と少しずつ薄れていくのを感じている。
始まりは、なんだったのだろう。
愛だったのか。寂しさを埋めたかっただけなのか。
どちらとも言えない。でも、確かに“縁”だけはあった。
当時の記憶なんて、もう曖昧だ。
それでも、あの頃の私は間違いなくドキドキしていた。
夫が「車、好きに使っていいよ」と言ってくれたこともあったけれど、私は首を縦に振れなかった。
必要なときに少しだけ借りる。それが私の精一杯の線引きだった。
──子どもたちがいた。
私は全てを夫に委ねるわけにはいかなかった。
その線引きが、「車」だったのかもしれない。
それでも夫は、イベントで帰りが遅くなる夜、職場まで迎えに来てくれた。
両親に子どもたちを預け、内緒で何度もデートを重ねた。
あの頃の私は、確かに夢中だった。
そんな中、今でも鮮明に覚えている出来事がある。
──あの日、私は夫の車を借りて空手教室に向かっていた。
ほんの少し、よそ見をした。それだけのことで、車は電柱にぶつかり、大破した。
全身が震えた。幸い、どこもケガはなかったけれど、頭は真っ白だった。
私はすぐに夫に電話をかけた。
「……ごめんなさい。車、ダメにしちゃった……」
すると夫は言った。
「車はいい。お前、どこもケガはないか?」
その瞬間、涙が止まらなかった。
怒られて当然だと思っていた私に、優しい言葉をかけてくれるなんて──。
心の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
しばらくして、大型車に乗った夫が現れた。
泣きじゃくる私と、壊れた車を引き、静かに家まで送ってくれた。
「俺が何とかする。お前はゆっくり休め。」
そう言われて眠りについた。
その後、車は廃車になった。
車の代金を弁償しようとする私に
「ちょうどローンも払い終わったから、いいよ。」
夫はそう言って、私の無事だけを気にしてくれた。
周りからは「よく運転してた人が生きてたな」と言われたらしい。
夫は私に、「生きていてくれて、ありがとう」と言ってくれた。
あの日、私はずっと一人で背負い込んでいた何かが、ふっと軽くなるのを感じた。
安心するって、こういうことなんだと思った。
もたれかかった胸が、あたたかくて。
「この人と、一緒に生きていきたい。」
その想いが、自然に心の奥から湧き上がった。
でも、その気持ちを伝えることはできなかった。
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