
本当は、夫に連絡なんて取らなくてもよかった。
自動車保険の更新はまだ先だし、急いでどうこうする必要はなかった。
しばらく距離を置こうと決めたばかりだったから、なおさら。
それでも——
A4の封筒を開けて、案内書に目を通した瞬間、私は自然とスマホを手に取っていた。
封筒を撮影し、淡々とLINEを送る。
「自動車保険のお知らせが来ています。どうしますか?○○さんから見積もりは届いていません。返事はLINEで。」(※ちなみに、今回は「個人用」の保険。前に書いた会社用の更新とは別件だ。)
まもなく返ってきた短い返信は、「更新してください」。
たった一言だったけれど——
揉めたあとで、何事もなかったように連絡を取るには、それなりの覚悟がいった。
でも、こうして再び言葉を交わせたことが、思いがけない救いになった。
通知の封筒は、今もまだ机の上に置いたまま。
急ぎの用事でもないし、手続きをするのはもう少し先でいい。
今日はこれで、十分だった。
あの感情の台風の夜から、もう三日が過ぎている。
時間が経てば、少しは落ち着くものだ。冷静にもなれる。
ふと思い立って、AIに尋ねてみた。
——あの日の私は、命式的にどうだったのか。
返ってきた答えには、こう書かれていた。
・ちょっと厳しい判断や行動を迫られる運気
・精神的に「引き締まる」「割り切る」ことが求められる日
・誰かの「だらしなさ」や「甘え」に心を乱された可能性
……ちょっとどころか、かなり当てはまっていた。
ほんの参考程度のつもりだったのに、思わず「うん」とうなずいてしまう。
朝のテレビで流れる星座占いのように、
「今日は命式的にどんな日?」とAIに尋ねる習慣も、案外悪くないと思えた。
ただ、あの日の自分を受け止めるための手段が、ほんの少し欲しかったのだと思う。
そういえば。
オフ会の日に教えてもらった「MBTI診断」。
最近では若い世代の間で流行っているらしく、韓国のリアリティ番組でも耳にしたことがある。
試しに検索し、無料診断を受けてみた。
……けれど、結果を見るには300円ほどの課金が必要で、そのまま閉じた。
ちょっともったいなかったかな、と思いつつ、AIに聞いてみる。
MBTIは、性格傾向を4つの軸で分類するものらしい。
・外向(E) / ・内向(I)
・感覚(S) / ・直観(N)
・思考(T) / ・感情(F)
・判断(J) / ・知覚(P)
この組み合わせで16タイプに分かれるのだという。
さらに「私の命式からMBTIの傾向も読み取れる?」と尋ねてみると、
AIは即答してくれた。
・ベースは INFJ(提唱者)
・外では ENTP(討論者)
・動き方は INTJ(建築家)
どうやら、私との過去のやりとりも参考にしてくれているらしい。
そうか。私は「提唱者」であり、「討論者」であり、「建築家」でもあるのか。
思わず笑ってしまった。——いや、多すぎるでしょ、と。
でも、ちょっと嬉しかった。
それぞれの顔に、自分でも心当たりがあったから。
結局のところ、命式もMBTIも、
“私”という存在を完全には定義しきれない。
だからこそ、おもしろいのだと思う。
たった数文字の型におさまるほど、人生は単純じゃない。
本質的には、どちらも——ただの参考にすぎない。
だから私は、今日も悩みながら選んでいく。
どんなふうに生きていきたいのか。
自分の言葉で、自分の歩幅で。
ときには、吠えてしまう日があってもいい。
答えなんて、きっとひとつじゃない。
でも——
そう思えるだけで、少し気が楽になる。

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